NCEAとは

ニュージーランドの高校に在籍する生徒が取得する資格の中心は、全国統一の高校教育認定資格である、NCEA(『National Certificates of Educational Achievement』)です。NCEAは、ニュージーランド国内、または別の国で進学する際の入学要件の一部となりますので、日本の大学やニュージーランド以外の海外の大学に進学を希望する場合でも、希望大学の希望学部の入学要項を確認しておくことが大切です。

NCEAのシステムは複雑で、かつ、日本の学校にはなく、日本人には理解することが難しいかもしれません。科目選択の際には、学校の先生の説明を注意深く聞き、自分の希望する進路に合った選択をしていきましょう。

NCEAの仕組み

NCEAは、レベル1,2,3の3段階で取得できます。

  • レベル1(Year11(日本の高校1年生))
  • レベル2(Year12(日本の高校2年生))
  • レベル3(Year13(日本の高校3年生))

各レベルで、各科目の単位(Credit)を取得していきます。

各学年で取得しなければいけない単位は以下の通りです。

  • レベル1:合計80単位以上 ⇛ レベル1またはそれ以上の科目から60単位+レベル1のLiteracy(読み書き能力)10単位+レベル1のNumeracy(計算能力)を10単位 
  • レベル2:合計60単位以上 ⇛ レベル2以上の科目から合計60単位
  • レベル3:合計60単位以上 ⇛ レベル3の科目から60単位

また、下記の単位を3年間の間に取得する必要があります。例えば、レベル2で80単位を取っていても、下記の単位を取れていない場合は、レベル2をパスしたことにはなりません。

  • レベル1の読み書き能力(Literacy)を10単位
  • レベル1の計算能力(Numeracy)を10単位

※Literacy、Numearcyの単位の取得は、この単位が付く単元をパスする、もしくは、年に2回実施される全国共通テスト、Co-requisiteでReadingとWritingをパスすると各5単位ずつ、Numeracyをパスすると10単位が自動的に加算されます。尚、科目からのLiteracyやNumeracy単位と、Co-requisiteの単位を足すことはできません。

例えば、Aさんという生徒さんの各学年の単位数が下記の通りだとします。
レベル1:45単位
レベル2:25単位
レベル3:18単位

したがって、
レベル1:45 + 25 + 18単位  =88単位
レベル2:20 + 25 + 18単位 =63単位
レベル3: 20 + 18単位 =38単位
になります。

レベル1では80単位をクリアできましたが、残念ながら、レベル2とレベル3では単位が足らない、という結果になります。

InternalとExternalとは

Year11以上の学年になると、「Internal」「External」という言葉を耳にする機会がとても多くあります。

  • Internal:Internal Assessmentの通称です。学内評価テストのことです。日本でいう中間・期末テストのように、その単元が終わると学内でテストが行われます。
  • External:External Assessmentの通称です。4学期終了後、11月2週目ぐらいから行われる全国統一試験のことです。全ての学校が同じ日の同じ時間に同じテストが一斉に行われます。1科目につき3時間のテストです。

成績について

Internal、Externalともに4段階で評価されます。

  • Excellent(優)
  • Merit(良)
  • Achieved(可)
  • Not Achieved(不可)

※優・良・可、どの単位でも取得する単位数は同じです。

NCEAの例

弊社の生徒さん、Aさんの今年の選択科目です。

Aさんは、今年、下記の科目を選択しました。
レベル1:数学、音楽、宗教、理科
レベル2:コンピューター、ESOL

Aさんが今年獲得できる単位数です。
レベル1:79単位
レベル2:21単位
合計:100単位

NCEAのレベル1をパスするには・・・

  • 100単位の中から80単位を取る
  • Numeracy、L1 Literacyが付く単元をパスし、それぞれ10単位以上を取る。

⇛Numeracy、L1 Literacyをそれぞれお10単位取るには?

例えば、Aさんの場合、
Numeracyを獲得するには・・・数学の91027の単元には、単位数4と、Numとありますね。
この単元をパスすると、自動的にNumeracyの単位を4単位もらえます。

L1 Literacyも同じように、理科の90948の単元に、L1 Litとありますね。
つまり、この単元をパスすると、自動的にレベル1のLiteracyに4単位もらえることになります。

それぞれ、NumやL1 Litが付く単元をパスして、合計10単位取れば、NumeracyとL1 Literacyはクリアできます。

ニュージーランドやその他の海外の大学への進学について

ニュージーランドの大学や、日本・ニュージーランド以外の海外の大学によっては、NCEAのLevel3を取得するのに加え、University Entrance(UE)という大学入学要件も満たす必要があります。University Entranceの条件は以下のものです。

  • NCEAレベル3を取得していること
  • Approved Subjects(受験科目)の中から3科目以上のLevel3の科目で、各科目14単位を取得していること
  • 英語またはマオリ語の読み書き能力(Literacy)Level2以上を10単位(ReadingとWritingを各5単位ずつ)
  • 計算能力(Numeracy)Level1以上を10単位

日本の大学への進学について

ニュージーランドの高校を卒業した後は、日本の大学へ進学する方が多くいらっしゃいます。
大学進学方法としては、各大学の帰国子女枠、もしくはAO入試枠を利用しての入学が一般的です。
帰国子女枠では、家族で海外に住んでいた方のみが受験できる大学と、単身留学でも受験できる大学があります。また、単身留学の場合、多くの大学で2年以上の海外の高等教育機関で就学していることが条件に出されています。その他、高校で受講しなければいけない科目を指定されたり、NCEAの単位数や、IELTS、TOEIC、TOEFL等の英語資格を条件にしている大学や学部もあります。
各大学、各学部によりで帰国子女枠の受験資格条件や、受験科目が異なりますので、親御さまは、お子さまが希望する大学や学部の入学要項を大学に確認をして頂くことが大切です。
また、大学の受験資格の中に、お子さまが通われる高校からの成績表や出席記録などの書類の提出が義務付けられていることも多くあります。大学に提出しなければいけない書類も必ず確認を頂いて、時間に余裕を持って高校に依頼をして下さい。但し、「受験日より2ヶ月以内に発行された書類」等の条件がある場合もありますので、ご注意下さい。

NCEAはあくまでも高校生活の一部分

選択科目によっては、Internalで合計単位数を越えることもありますが、高校生活ではNCEAの単位を取ることだけが目的ではありません。きちんと1つ1つの単元を勉強していくことが高校生活では大切です。また、大学受験の際には各科目の成績も細かく提出するので、単位はできる限り取得している方が、大学へのアピールにも繋がります。単位数をクリアした後も、Externalの試験まで、それまで通り、勉強はしっかりとしていきましょう。